「10月に記念館開館」台湾・馬総統

台湾に「慰安婦記念館」 を開館させるという馬英九総統の発表から約1月経過しましたが、ネトウヨの反応はそう多くないようです。

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台湾叩きまでには至らず、「中国共産党寄りのレームダック化している馬総統が抗日70周年を利用して支持回復を狙ったもの」という意見がありますが、真正面から罵声を浴びせるような非難はしていません。比較的冷静です。
外省人の「反日分子」の画策だ」としているのも例によってステレオタイプの二元論で、本省人の多くは依然「親日」だと言っています。

「戦後、中国大陸から移住してきた人とその子孫である「外省人」系は人口の1割強を占めるに過ぎないとされる。馬総統もこのグループに属する。」として明言は避けていますが、産経新聞(2015.6.28)はこのように少数の「外省人」の思惑だと言わんばかりです。
(馬英九総統は政治的には2012年の選挙で、得票率51%で二期目就任を果たしています)



2008年には台湾立法院(国会)において旧日本軍の慰安婦問題をめぐって、日本政府による公式謝罪と被害者への賠償などを求める決議案を全会一致で採択しました

これは民進党や国民党、外省人や本省人に関係なく、台湾人の総意と言っていいでしょう。
だからと言って「反日台湾」とはネトウヨは言いません。

彼らは今まで、「反日韓国は捏造慰安婦を前面に出し、謝罪ニダと賠償ニダと妄言を吐いている」とする一方親日国の台湾はそんな卑怯なことはしないとネット上で吹聴していました。 
まあ単純なネトウヨの主張の「一方」も半ば崩れた訳です。 

確かに台湾人の親日度は他国より際立っているのは事実ですし、個人的にも非常にフレンドリーな経験が多いのですが、「反日」的感情を抱く人も少なからずいます。
尖閣諸島の領有を訴える漁民の多くは本省人ですし、それをスポンサーした旺旺グループオーナーも本省人です。日本の占領時代に利益を享受した特権層もいますが、迫害され、過酷な目に遭った人々もいます。その中には慰安婦もいるのです。勿論当時は本省人がほとんどです。

台湾の芸能人バービー・スーは東日本大震災のとき3750万円も寄付しましたが、彼女は外省人です。
テレサ・テンも親が国民党軍人の外省人。
親日家のレイニー・ヤンも両親ともに外省人。

親日=本省人 反日=外省人
というネトウヨの単純台湾観は台湾国民をバカにしているとしか思えません。
要するに、「台湾併合時代、大日本帝国の善政により未開地から近代国家への基礎を築いた。だから本省人は親日だ」という一方的な歴史観に犯されているからだと思います。

戦後、蒋介石軍事独裁政権が本省人(台湾人)の抵抗意識を奪うために、知識階層・共産主義者を中心に数万人を処刑したと推定されており、その残虐性に対しての反動から本省人が日本統治時代を肯定するようになったと言われています。確かに1898年児玉源太郎が第4代総督になってからは治安も安定し、それまで度々行われていた台湾人を虐殺するような事は、ほとんど無くなったからです。大量処刑という弾圧極まりない統治よりはずっとましだという事です。
それでも安倍首相を支持する親日派の李登輝元総統でさえ日本統治時代、台湾人は二等国民扱いで差別されていたと最近でも明言しています。
しかしネトウヨはその経緯をスルーしています。
そして蒋介石にしても仇敵中国共産党と対峙するには、日本との関係を悪化させる訳にはいかなかった事情もありました。
中国国交回復(台湾断交)後も民間レベルでの「外交」や経済関係は緊密に続けられました。
そういった戦後の歴史に言及せず、日本統治時代を持ち出して台湾は「親日」というのは見当違いと言うものでしょう。


菅官房長官「当然わが国の立場と相容れない」

と政府は反応しましたが、「わが国の立場」とは一体何を言うのでしょう?
まだ記念館の展示内容も分からないのに、相容れないとはどういう事でしょう?
ロクに記事も読んでいない(本人曰く)くせに、「沖縄の二つの新聞はつぶさないといけない」と言った百田尚樹氏のふざけた主張と同じじゃないですか。
 

追記: 訂正台湾立法院の議決には2名の反対があったということですが確認できていません。