「混血児がいない」と言って日本兵による強姦事件はなかったとする右派の主張は如何なものか?

問題となるような強姦事件が発生しなかったというのがウソである事は、軍高官や兵の証言だけでなく、支那派遣軍の軍法会議での記録という確たる証拠だけでも明白ですが、
過去エントリを参照してください。
http://senbonzakura.blog.jp/archives/30857313.html


右派は違った角度からそれを否定しています。
「日本兵との混血児が問題となったことがない」「混血児はいなかった」から強姦はなかったという論法です。

それがウソというには多くの混血児の存在を証明しなければなりませんが、これが非常にむずかしい。
アジア人と日本人の混血児では肌の色が黒かったり、髪の毛が縮れていたり、目が青かったりすることが無いから、他人からの見た目で判別がつきにくく顕在化することがないことにも拠ります。

一方「混血児がいない」と言うのを否定する人は

強姦の上殺害された。
被害者が子を生めない体になった。
望んで妊娠した訳でないから中絶した。堕胎した。嬰児を殺した(間引き)、棄てた。
親子心中した。
混血児ということを隠して育てた。
という理由を述べています。もちろん理由としてはもっともでしょう。

ただ「証拠を見せろ」と言われると、南京の医師の証言記録があるものの、そう多くはありません。
中国では「間引き」の習慣が古くからあり、現代でも女児はその運命に晒されています。
当然強姦での子の多くも「間引き」されたと考えても不思議ではありません。

日本での水子供養の習慣は1970年代からであり、それも墓石屋と寺がタイアップして広めたということで、中国では供養碑のようなものは存在もせず、単に闇に葬られただけで記録には当然残らなかったのです。


でも私は、ほとんどの混血児が問題にならない理由は被害者の方にあるからと思うのです。
仮に混血児が多数生まれたとしても、中国の場合、敵兵の子と知れれば親子ともども迫害に遭うのは目に見えているので、当然中国人として育てたと考えられます。
日本人の子、中国残留孤児でも中国人として育てられたのですから、母親似の混血児なら尚更当然でしょう。

そして最も重要なのはその親子関係です
子に対して母親は「あなたは私が日本兵に強姦されて生まれた子」とは決して言わなかったでしょう。
そのひとことで親子の絆が切れてしまいます。
またその被害を世間に知れれば子が二次被害を受けるのですから、「望んで妊娠したわけではない」のを隠して生きてきたに違いありません。


フィリピンではどうだったかというと、ほとんどがカトリック信者なので、中絶せず混血児も多く生まれました。
スペイン統治時代から混血児は非常に多く、アメリカ統治時代に移ってもそれは変わりませんでしたし、マレー系、中国系の混血もすすんでいました。そして戦前から日本人も多く移住していて混血児も多数いました。

ただ日本軍占領後は反日感情が強くなり27万人の反日ゲリラの存在でも明らかなように、占領政策は失敗しています。
民間日本人はもとよりその現地妻や子(日比混血児)も当然敵視され、終戦までジャングルに逃げ込んだりして息を潜めるように過ごさざるを得ませんでした。そんな時代に強姦での混血児はフィリピン人として社会に溶け込んだものと考えられます。


フィリピン残留日本人二世(残留孤児 約3000人)の多くも母親がフィリピン人です。
そのひとりサカガワ・トミコさん現地名イレネアさんの場合
「父親は爆撃に巻き込まれ死亡しました。」
サカガワさんは「家族とともに山奥に逃げ込みましたが、4人の兄弟は餓死。」サカガワさんだけが生き延びました。
「反日感情が根強く残っていた1980年代末まで、日本人であることを隠して生きてきました。」

反日感情も収まってきたのは最近のことですがネトウヨはフィリピンは親日国だとして、過去の日比関係を理解しようとしませんね。そして「コピーノ」を取り上げるくせに約10万人いるとされる日本人男性とフィリピン人女性との間で生まれ育児放棄された「ジャピーノ」には無視を決め込んでいます。




war crime

フィリピンマニラでのデモ

We are VICTIMS of JAPANS' MILITARY SEXUAL SLAVERY
 私達は日本軍性奴隷の被害者だ

WE WERE FORCED 強制された

WE WERE ABUSED 虐待された

WE WERE VIOLATED 犯された

WE WERE RAPED レイプされた

by JAPANESE MILITARY during WORLD WAR II





マレーやインドネシアなどでも出生の秘密を隠し続けたのは容易に想像がつきます。

仮に被害者の多くが混血児を問題にするならば、心無いウヨクは混血児の父親を特定できないのをいい事に、「売春婦が生んだ私生児だ」と言い張り、更に二次被害、三次被害を拡散させるだけでしょう。
テキサス親父とも仲のいい西村修平氏(主権回復を目指す会・代表)
「世界の常識だ。不貞の子どもは差別される」としたうえ、差別撤廃を訴える人に対し「何回でも言ってやる。私生児が。私生児が」と発言。



日本でも戦後進駐軍との混血児は強姦被害のうえでの子であっても一様に「パンパンの子」として蔑んだ人が大勢います。「エリザベス・サンダースホーム」の澤田女史のように混血児に寄り添う人は少数でしたね。

「戦後混乱期には成育を望まれず死産として事態を収めるケースも多くあった。横浜にある根岸外国人墓地には、800-900体もの「GIベビー」が埋葬されており、、、」Wikipedia
しかし最近GIベビーの記述が案内板から削除、書き換えられました。
http://news.yahoo.co.jp/pickup/6170725
負の歴史の隠蔽が行われています。

1953年の厚生省調査によると国内で4972人が確認されています。パール・バック財団の調査によると少なくとも2-3万人にのぼるともいわれ、20万人という説もあります。





ところが進駐軍による強姦や強姦致死、被害者の自死の人数が万単位であった事実は知られていますが、日本人が大規模抗議行動や暴動を起こした記録は残っていません。

「デモや暴動も起こっていないのだから、強制連行はなかった」という人でも
「デモや暴動も起こっていないのだから、米兵の強姦はなかった」とは言いませんね。




「自虐史観の洗脳が解ける魔法の質問ー慰安婦強制連行について」というネトウヨサイトでは
「女たちの強制連行を前に韓国の男たちは何をしてたの?」と1933年の東亜日報の記事を掲示しています。

1933年6月30日「東亜日報」
注:1940年以降のこうした記事の記録は見つかっていません。なぜでしょう?また新聞記事は慰安婦とは直接関係ありません。





「女たちへのレイプを前に日本の男たちは何をしてたの?」


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注:当時はGHQの検閲があったので、米兵の暴行・強姦事件のほとんどは新聞記事にされませんでした。
でも日本の史実を語れば「自虐」になるそうです。
唯一沖縄では米軍施政下当時のコザ(現沖縄市)で暴動が起きています。また1995年の「少女暴行(強姦)事件」では8.5万人もの大規模な県民抗議集会が行われました。


また満州・朝鮮でも「デモや暴動も起こっていない」し、「日露混血児はいなかったのでソ連軍による日本の婦女子への強姦はなかった」とも言えませんね。


しかし右派が混血児を持ち出すのは、韓国・ベトナム混血児「ライタイハン」との対比を意識しているからです。
しかも「ライタイハン」の多くが韓国軍による強姦の結果だと歪曲しています
強姦被害による混血児よりも大多数は韓国人のビジネスマンが現地妻に産ませた挙句に養育放棄したのが実情です。数については2千(野村進)~3万(釜山日報)と諸説有。また9割は韓国人ビジネスマンとの子との指摘もある
韓国人男性とフィリピン人女性との間に生まれた所謂「コピノ」と同様です。強姦ではないので、それらの父親はある程度特定できているから表立って問題となっているのです。


「ベトナムには最大で3万人のライダイハンがいると推計される。その多くは戦争終結後、ベトナムに流入した韓国人ビジネスマンと現地女性の間にできた子供と言われるが、韓国兵のレイプによって生まれたライダイハンがいるのは紛れもない事実だ。韓国兵が現地の売春婦を妊娠させるケースも少なくなかった。」
「私が韓国兵とよく遊びに行ったのは、猛虎師団の基地があったビンディン省クイニョン市内のバーです。ここでは、気に入った女性がいるとわずかなチップで外に連れ出すことができた。のちに私が引き取った子供も、そうした女性と韓国兵の間に生まれたライダイハンです」ライダイハンの里親になったチャン・デュイ・リエムさん

SAPIO2014年8月号にはこういった記事が掲載されましたが、ネトウヨの間では「韓国兵のレイプによって生まれたライダイハンがいるのは紛れもない事実だ。」だけが拡散され、「その多くはベトナムに流入した韓国人ビジネスマンと現地女性の間にできた子供」を完全無視するいつものパターンが横行しています。
SAPIOは例によって「紛れもない事実」を証明せずに「売春婦の子」だと言う証言だけに留まっています。
本来ならSAPIOのような右派雑誌は強姦の結果生まれた混血児を見つけたいのでしょうが、それを証明するのが非常に困難だということを物語っています。
 
限りなくウソに近いと言うだけでなく、強姦による混血児を証明することが非常に困難であるのを知りつつも、歴史否定論のために間接的であってもそれを持ち出すのは卑劣であり、また「ライタンハン」たちにとっても迷惑どろこか、それを拡散し続けて「強姦のうえに生まれたんじゃないか?」「私は強姦を犯した犯罪者の血を引いているのか?」との疑念が「ライタイハン」の中に生じる事でもあれば、甚だしい人権侵害となるでしょう。

ウヨが持ち出すライダイハンについて、仮に韓国軍によるレイプによるものがあったとしても、日本軍慰安婦や皇軍のレイプが免罪される訳では決してありません。
また
http://d.hatena.ne.jp/D_Amon/20100202/p1
亜門大介(HN)氏のブログでは、より詳しくウヨのライダイハンに関する捏造が指摘されています。



ネトウヨは自分好みの「歴史」を語るうえで、そういった人を蔑む行為に何等罪悪感を持たない心の持ち主と言われても仕方ありませんね。


考えてみると、強姦被害による混血児は悲しい運命の下に生まれ、母子ともども苦労したのは容易に想像がつきます。
1、相手の名前や身分が分からない
2、母方の国でも迫害に遭う
3、加害者が特定できないので賠償や養育費を請求できない
4、心無い人から兵に体を売った淫売の子だと白眼視される
5、混血児を隠していれば、強姦はなかったと言われる 

根が深い問題です。

追記

「混血児」という言葉の差別性について


「混血児」は、「純血児」との対比で使われています。「純血」と「混血」は、対等な関係になく、「純血」が優位に、「混血」が劣位に置かれた上下関係にあるもとして使われています。子どもは、あくまで個人としての父母の間に生まれるものであり、父母の間の人種や民族や国籍の違いにより差別されるべきではないと思います。


「日本人の父母の間に生まれて来た場合も、母親と父親の「血が混じって」生まれてくることには違いないので、人種や民族や国籍が異なる父母の間から生まれてくる子どもと同様に「混血児」と呼ばれてよいはずですが、前者の場合は、通常呼称がなく、ただ、後者の場合の「混血児」と対比された場合にのみ、「純血児」と呼ばれます。実際問題としても、人種や民族や国籍の異なる父母により生まれてきた子どもが、日本社会の中の地域や、学校で「混血児」と呼ばれていじめられてきています。この場合、「混血児」が、侮蔑的意味で使われているのに対して、仮に反論として「純血児」といったところで侮蔑的意味にはなりません。このことからも「混血児」が差別的表現であることは、あきらかだと思います。」
とするNGOの見解を紹介しておきます。

確かに「混血児」を使った表現の場合と「ハーフ」と言う場合は明らかにニュアンスは違いますね。 

沖縄では行政もマスコミも「国際児」ないし「アメラジアン」(Amerasian)を使用しています。






最後に面白いデータを目にしたので、貼っておきます。 


未成年の強姦犯検挙人数と少年人口(10~19歳)10万人当りの比率 警察庁「犯罪統計書」による

               人数 人口比
  1941年 昭16年  255人  1.60
  1942年 昭17年  328人  2.03
  1943年 昭18年  335人  2.05
  1944年 昭19年  294人  1.78

直近のデータは
  2015年 平27年   78人   0.2以下 

戦前は公娼制度がありましたし、所謂「筆おろし」に多くの若者が利用したと言います。
でもこのデータは何を物語っているのでしょう。
日本の内地においては1941年の灯火管制下の治安維持のために戦時犯罪処罰ノ特例ニ関スル法律を制定し、性犯罪の厳罰化が図られた(京都大学グローバルCOE「帝国日本の戦時性暴力」,p6-7)とされますが、戦中においても現在の十倍もの強姦犯罪が起きていますね。


強姦を防ぐのに公娼制度が有効だったのかという単純な疑問が沸きます。