百田氏の沖縄県内の人口動態の件についての反証に続き、あたかも軍用地主は大金持ちばっかりだという百田氏の主張にツッコミを入れたいと思います。


百田氏は
「「基地の地主たちは年収何千万円だ。だから地主が六本木ヒルズに住んでいる。大金持ちだから、彼らは基地なんて出て行ってほしくない。もし基地移転ということになったら、えらいことになる」などと事実と異なる発言をしていた。」という琉球新報の記事にも反論しています。
後の発言では「六本木ヒルズに住んでいる大金持ちと同じ」と話が少し違っています。
futenma

「大地主は
全体の2.1%だというデータには反戦一坪地主が600人もいて全体の比率を押し上げている」と噛み付いていますが、政府答弁書のデータから反戦地主分を排除して計算しても、彼が何千万円という地代を得ている人の割合は2.68%で記事内容は意図的なレトリックだとするには説得力がまるでありません。
政府答弁書をそのまま記事にしていてなにが悪いのでしょう。氏の主張を取り入れても僅か0.58%の差で論調が変わる訳がないでしょう。 
ましてや1,000万以上の81人の中で何千万円も地代を得ている人がどれくらいいるのでしょうね。
何千万円といえば1,000~2,000万円よりもっと多いと思うのが普通でしょう。
一坪地主も問題にならないレトリックですよ。

それと「
もし基地移転ということになったら、えらいことになる 」と言いますが、大地主たちがそう言っているのですか?取材でもしたのでしょうか?百田氏の勝手な妄想でしょう。投資や不動産のプロならそんなことはないと言いますよ。特に六本木ヒルズに住んでいるような人なら不動産に関する情報には敏感なはずと推測します。

普天間が返還されたら、あっという間にまちは閑散とする。ぬくぬく暮らしていた地権者も困るはずだ」 
と後にニュアンスの違う発言しています。


基地がなくなるとしても
10年後の返還予定ですが、移転先の辺野古の問題がスムーズに解決しておらず、あと10年~15年は返還は考えにくいので、その間は借地料がもらえます。
また軍転法が改正されたので、返還後区画整理されて土地が使用可能になるまで地代相当の給付金がもらえます
跡地利用特措法
跡地所有者等が、引渡日の翌日から起算して引き続き三年を超えて、当該土地を使用せず、かつ、収益していないときは、当該跡地所有者等に対し、当該跡地所有者等の申請に基づき、基準日から特定給付金を支給するものとする。(上限1千万円)

区画整理後の土地価格は減歩率を考慮しても実勢価格で売却できるので損はしません。また大地主はまとまった形の土地を手に入れることができるので、不動産の常識としては宜野湾市のような都市では50~60坪程度の土地より商業的価値も高く
なります。
現在の軍用地価格相場とその地代からの利回り率は 2%台です。宜野湾市なら事業用不動産として活用すればそれを上回ることは充分可能でしょうし、売却して利回りのいい別の不動産に投資することもできます。

事業意欲のある地主なら「おもろまち」(返還後経済効果32倍)北谷町(同108倍)のように発展を期待して早期返還を望んでいても全くおかしくありません。

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また地主人数が増えているのは相続で共有者が増えたことによるものだと思われますが、相続登記をせずそのまま相続人が地代を受け取り、血縁者同士で分けている事だって充分考えられます。
沖縄の地縁・血縁意識は強く、地主の多くは血縁者(将来の相続人ら)と地代を分かちあっているのが実情です。地代を独り占めにして六本木ヒルズに住むなんて事があったとしても、それはほんのごく少数でしょう。
六本木ヒルズに住む大金持ちの投資家が軍用地も資産として所有しているだけではないのでしょうか?
またそんな地主がいたとしても東京での事業で成功したからヒルズに住んでいるのであって、単にそこに住むのが目的で地代の多くを充てるなんてバカな人はまずいませんよ。六本木ヒルズの2LDK100㎡の家賃の平均相場は100万円程度ですから年間1200万円以上します。

まあ常識的に考えればそういう事なので、百田氏はこの件にはもう反論できないと思います。
しかし百田氏や百田氏を信じる人が確実な証拠を出して再反論する方法はあります。
土地の登記簿(全部事項証明書)を入手し、その地籍と所有者を確認すればいいのです。
所有面積がわかれば地代が推計できますし、所有者の住所も判明します。それをもって証明すればいいのです。
下のような滑稽な発言ではダメですよ

hyakubaka

これって軍用地売買の広告でしょ?別になにの反証になるのでしょう。そりゃ不動産だから売買できて当たり前。
日経新聞の収益不動産の売買広告と基本同じですよ。
逆に「基地が無くなればえらいことになる」というなら、そんな不安要素のある土地に需要があるのを説明してください。普天間基地の軍用地は価格上昇しているそうですよ。

そしてこれらの広告が「地主たちは・・大金持ちばかり」の証明になるのですか?
キャンプ桑江212万円/年・カデナ飛行場24.7万円/年とありますが・・・
百田さん、どんだけズレた発言しているのかね、恥ずかしく無いの?

ちなみに飛行場の民間地主に支払われる地代を比較してみますと、
成田国際空港    10,000円/㎡
福岡空港       10,000円/㎡
那覇空港        4,000円/㎡
基地の地代
逗子の自衛隊基地 10,000円/㎡
沖縄の軍用地     1,400円/㎡~
沖縄はむしろ低く抑えられています

http://www.pref.okinawa.jp/site/kikaku/chosei/kikaku/documents/q8honkentotafukennozaiseiitennohikaku.pdf

県民一人当たりの国庫支出金と地方交付税の合計額では、全国6位(震災復興支援を受ける東北三県を除く)
県民経済計算で見る一人当たりの公的支出額は、全国14位
そして箱物に関して言えば7割近くが本土のゼネコンに回っています。


そして軍用地代に関して忘れてはならないことは、住民が家を追われ、耕作地も奪われ、生活が一番苦しかった終戦後7年間は一切支払われていなかった事実です。

「自分たちのイデオロギーに叶えば、シロでもクロと書くやり方は、沖縄の反基地運動家とまったく同じですよ。」
とはあきれてしまいます。どちらが事実を捻じ曲げているのかは明白です。
百田氏の己のイデオロギー(と言えるものがあったとして)に叶えば、シロでもクロと書くやり方は非難されて当然でしょう。