アメリカも認めた慰安婦は売春婦と同じだったという主張について

いわゆるミッチナ捕虜尋問調書に記載されている次の文章ですが
「A "comfort girl" is nothing more than a prostitute or "professional camp follower" attached to the Japanese Army for the benefit of the soldiers. The word "comfort girl" is peculiar to the Japanese.」

「"慰安婦"とは、軍人にサービスするために日本軍に配属された売春婦、すなわち "将兵専門のプロの娼婦"としかいいようがない。"慰安婦"という言葉は日本人特有のものだ。」
camp followerは直訳では基地の従者ですが前後の文脈からこの訳に違和感はないでしょう。

さてこの文章を元にネトウヨは「慰安婦とは売春婦だとアメリカ軍も認めている」と拡散させています。

単純に考えればそうですが、慰安所に関し予備知識のない米軍が、捕虜は慰安婦と言っているが 、それは米軍の認識では慰安する女子じゃなく売春婦だと説明しているだけです。

「comfort girl?そりゃ一体なんだ?」
尋問するうちに「なんだ売春婦以外何者でもないじゃないか」と判明したのでそう記録したんだと思います。
しかし(comfort girlという概念がアメリカにはなく)「日本人特有のものだ。」と述べているところがキーポイントです。

私たちが慰安婦と売春婦の違いを論争するほど彼らは慰安婦の特異性を認識していたはずがありません。
それを”peculiar to the Japanese”をほぼ無視し、あざとく解釈して慰安婦=合法売春婦説にすりかえていると思いませんか?
しかもたった2人の日本人"the Japanese"="house master"の証言だけですよ。主張の蓋然性は無きに等しいと言えます。 

まあ多くのネトウヨは原文解釈までしていないでしょうから、鵜呑みにしているのでしょう。「ネトウヨは二行しか文章を理解できない」と揶揄される所以だと思いますよ。



「1944年にビルマでアメリカ軍が20人の朝鮮人慰安婦を捕虜にいたしまして、詳しい尋問記録を残しております。その中で彼女たちは日本軍に所属している売春婦だ「"nothing more than prostitute or "professional camp follower"」と結論しております。」 秦郁彦2015年外国人記者クラブ会見  
てかこの人は数学もさることながら英文読解も非常に弱い偏差値36くらいに劣化していますよ。

「慰安所は民間業者が不特定多数の客のために営業する通常の公娼施設とは違います。軍が軍事上の必要から設置・管理した将兵専用の施設であり、軍の編成の一部となっていました」と永井和京大大学院教授が指摘していますが、""comfort girl" is  ****** attached to the Japanese Army"日本軍に所属している売春婦と認識している秦氏は、永井教授の見解と同じで慰安所は軍の密接な関与があったと認めることになります。
秦氏は慰安婦を単なる「売春婦」と言いたいがために「ミッチナ捕虜尋問調書」を持ち出したのですが、「慰安所はいい金儲けが出来ると民間業者が部隊の傍で営業した」という軍責任回避論を覆す引用じゃないですか?


そういった主張をする歴史家に対し著名な権威ある歴史家達が
「特定の用語(この場合売春婦)に焦点をあてて狭い法律的議論を重ねること・・・(は)より広い文脈を無視することにほかなりません。」と諭している訳です。


ネトウヨが喜んで引き合いに出す「マッカーサーも日本は自衛の為に開戦に踏み切った」も良く似た手法です。
文章全体を吟味せず一部の単語だけで意訳(ほぼ意図的に誤訳)・拡大解釈しています。
ここでは本題ではありませんので詳しい説明は改めてUPしたいと思います。